養育費の支払に最も効果がある方法
以前の記事では、養育費を支払ってもらうために絶対に決めるべき4つの項目を紹介しました。
しかし、実は、養育費そのものに関してではありませんが、養育費を長期的に支払ってもらうために、絶対に決めておいた方が良いことがあります。
それが面会交流です。
面会交流とは何か
面会交流とは聞き慣れない言葉かもしれません。
簡単に言うと、離れて暮らしている親子が会うことで、以前は「面接交渉」とも呼ばれていました。
婚姻中の夫婦が別居している場合、あるいは離婚した場合には、どちらか片方が子どもを養育しており、もう一方は子どもと離れて暮らしています。その離れて暮らしている親と子どもが会うことを、面会交流と言います。
離婚後の共同親権は認められない
日本の法律では、夫婦は共同して親権を行使することとされています。
親権は父母の婚姻中は、父母が共同して行う。
しかしこれは婚姻中に限ったことであり、子どもがいる夫婦が離婚をする場合、離婚に際して、どちらかを親権者と定めなければなりません。
日本では、下記条文にあるとおり、離婚後の共同親権は認められていないからです。
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
面会交流は子どもの権利
親権を持たない親、あるいは子どもと離れて暮らしている親が、我が子と会いたいと思うのは当然です。
私が依頼を受けた家事調停関係の事件でも、そういった様子はイヤと言うほど見てきました。
「子どもに会わせろ」「親の自分が子どもに会えないのはおかしい」と、強硬に主張する人もよくいますし、その心情はわかります。
ただ、勘違いをしてはいけないのは、面会交流は親の権利ではなく、子どもの権利だということです。
つまり、面会交流の調停などの場合、子どもに会いたいと思えば、自分が子どもに会いたいからではなく、子どものために会った方が良いという形の主張が必要だということになります。
養育費と面会交流との関係
養育費と面会交流との関係性という点で、非常によくある主張が、「子どもに会わせないなら養育費は支払わない」、あるいは、「養育費も支払っていないのに、子どもに会わせろなんて図々しすぎる」といったようなものです。
一般的な感覚としては、ある意味納得のできる言い分だとは思いますが、法律上は、養育費と面会交流には関連性はありません。
つまり、例え養育費を支払っていなくても、面会交流は行わなければなりませんし、面会させてもらえなくても、養育費は支払わなくてはなりません。
養育費のために面会交流を行うべき理由
しかし、養育費と面会交流が無関係だというのは、あくまでも理屈上の話です。
子どもに全く会わせてもらえない父親が、養育費を快く支払ってくれるとは思えません。
そもそも、別れた妻に対し、どういう名目であっても、金を渡すこと自体、不愉快に思っている人は多くいます。
そういった人には、まず、養育費というのがどういった性格のお金であるのかをわかってもらう必要があります。
もちろん、子どもの養育のために使われるお金だということは、誰しも理解しているでしょう。
しかし、単に頭でわかっているだけではなく、我が子の健やかな成長のために必要なお金だということを、心から納得してもらう必要があります。
そのためには、子どもに会わせるのが最善の方法であるということは容易にご理解いただけると思います。
1か月に1回、子どもとの面会を行い、夏休みやお正月には、1泊の旅行に行くなどすれば、子どもの成長を肌で感じ、愛情も薄れることはないでしょう。
そういう心情になってこそ、10年、20年という長期間にわたって、養育費を支払い続けることができるのです。
別れた夫や妻とは会いたくないという気持ちは十分に理解できますが、子どものためと思えば、それも我慢できるのではないでしょうか。